内間直樹さんを想う


いつもお世話になっております。
私たち胴巻屋は、本当に良いと思った物を提供する、をモットーに小さな歩幅ですが、活動を続けさせていただいております。この場を借りてお礼申し上げます。
その活動の中で、多くの三線造りの現場でお話を見聞きしますが、これは放ってはおけないというものがございます。それは内間直樹さんのことです。
沖縄市にある人目離れた工房で毎日作業に打ち込む姿があります。こうして内間さんが三線作りを再開できていることが、今も信じられないという思いになります。
私が最初に内間さんにお会いしたのは8年ほど前。内間さんが直接自宅までいらして、お話をお聞きしたいと訪ねた時から始まります。
その時の内間さんはだいぶ身体が痩せ細っており、精神さえ安定していない様子が伝わっていた。
「内間と申します。決して怪しいものではありませんが、夏の炎天下の中、ふらふらしています。どうかお水を一杯いただけませんか?」というのが最初の挨拶でした。
それから度々工房を訪ねるようになっていたのですが、ある日を気に二年ほど音信不通になったのです。ようやっと連絡が繋がり、聞くところによると、製作依頼者からの賃金未払いなど、様々な理由で心身共に疲れ切ってしまい、三線制作をやめるのだと話されていた。長年大事にしていた道具の一才を売払い、空っぽになった自宅でなんとも寂しい想いになった。また、自作のフラメンコギターや水彩画など、残された数点の作品を見ると、余計に惜しい作家をなくしてしまうのかと思い、なんだか悔しくて堪らなかった。
製作家というのは最も厳しい道を歩む。売ることや営業ができると良いが、真面目なほど苦しむことが多い。今ではあの痩せ衰えた姿こそないが、あらゆる三線屋さんや業者さんからの多くの棹製作依頼を、日々その身一つでこなしている。それは決して高い仕事ではない。材を削り出し、粉塵にまみれながら、さらに一本一本と削り出していく。非常に気の遠くなる作業なのだ。それを何十本とこなしてやっと生活ができるというものだ。
例えどんなことがあっても、それでも製作に打ち込むのは、三線に対する愛情、それしかしかないのです。
そんな製作家の一番の喜びは、棹や胴を含め、拘り抜いて作った一丁の三線を買ってもらえることである。それこそが作家さんへの一番の評価になるのだ。私たち胴巻屋は内間さんの拘りぬいた作品を選び抜く。そしてご縁のある方へお渡しするお手伝いをする。その苦労と喜びが報われますように。想いが弾き手さんにもしっかりと伝わるように。
この動画は拘り抜いた自作三線への喜びの表情を収めるために撮ったものです。私たちの意図が届きますように。

胴巻屋

選りすぐりのヴィンテージ〜名作三線と、手作りの胴巻を扱っています。著書「古三線に魅せられて」

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