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岸本吉雄作の三〇年前に誂えられた与那型三線をご紹介させていただきます。ぜひ最後までお目通しください。
【由来】
観光客と県民が行き交う繁華街の市場の通り沿いで、これまで長年洋服を販売している店主(前持主様)がこの三線を手に入れるまでの経緯からご紹介させていただきたいと思います。
三線を習うためにはある程度良い楽器が欲しいと思った。そこで八重山出身者であり三線教師である古典音楽の新川氏を頼って相談を持ちかけたところ、八重山から良い材が数丁分手に入れていたうちの一本を譲ってもらった。その足で那覇市松川の岸本三線工房を訪ね、この材は与那型に適しているとアドバイスを受け、そのまま製作を依頼した。材は良く乾燥されていたが、十分に時間をかけて手掛けて欲しかったため、荒わきして数ヶ月寝かせてもらい、木の様子とタイミングを見て完成された。塗りはカサビ塗りに仕上がり、組み立てとチーガ張りには評判の高かった上原氏にお願いした。高音の音色が欲しかったのと、店内で店番をしながら歌の練習に打ち込みたいとの希望で、チャーギ材の人工皮八分張りに仕上げていただいた。仕上がった音色と形状を大変気に入った店主は、古典音楽に打ち込み、新人賞を取った。その数年後に優秀賞を目指したが、兄弟が他界してからは、声も張って出す元気を無くしてしまった。その後は研究所は休会したが、店でお客さんがいない時や、三線が好きな友人が訪ねた際はこの与那が弾かれ、歌三線で賑やかになった。三〇年という月日が経ち、大切な想い出も詰まった三線だが、弾くことがなくなったので手放すことを決意された。
【ほぼ当時のままの状態で】
この三線に手をかけて、塗りを剥がし新たに綺麗に生まれ変わらせることは出来たが、笑顔で三線のお話をされる店主さんを見ていると、この状態で保存しておくのがこの三線にとってもそれが一番の喜びではないかと強く思うところがございました。全体的に使用感が見られ小傷や擦れ跡も見られる。また、正面から見て右側の鳩胸に1cm程度の表面のみの塗割れ跡(材までは影響なし)がある(画像参照)。しかし棹は大きな捻りもなく正常で演奏面も支障はありません。
また、弾いてみると軽いビビりがあり調べてみると、劣化した弦と、低くなりすぎた歌口が原因であると判明したので、私のほうで歌口の取り付けと弦の交換を行い、ビビりは解決し正常に戻しました。
音色は人工皮の強く響きのある音色と、材の柔らかさが交わった気持ちの良いバランスの音色で、私自身はこの状態で十分であると思いますが、本皮で通した音も味わっていただけるように、分当て調整済みの本皮胴もお付けいたします。
当時のハードケースと専用の三線立てもお付けしてお届けいたします。
この三線の材や形状はもちろんのこと、三線が作られるまでの経緯も含め、愛情が込められた与那型三線です。是非手にしていただき、これからの愛器としてご愛用いただる方のご参加をお待ちしております。お取引の最後までどうぞ宜しくお願い申し上げます。
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