復刻三線※名工の初期の作品と推測される秀作−古タマイ真壁型−ヨーゲー芯作り

先日、一丁の三線が委託された
所有者様曰く、昭和中期ごろの古い真壁型のタマイではないか、とのことだった
確認してみたところ、驚くほどにレプリカされた古三線タマイ真壁型の秀作であったのだった

⭐︎野長一尺五寸七分と
芯の凹凸でも確認できる職人の深い探求心

おそらくこの三線を鑑定に出しても、ほどんどの先生方が昭和中期以前と判断してしまうほど、この三線の拘りといったら、脅威的なものがある。
並大抵の努力では作り上げる事はできず、一言で表現しますと、まさに天才的でクレイジーな感性を持ち合わせていないと、ここまでの表現は不可能であると断言できる。
では何がそう思わせるのか、といいますと、この職人は「天は古作り」を意識した作りとは対照的に、鳩胸と爪でその確かな腕を見せつけているところにあります。
昔風のタマイの絶妙な角度と丸みはもちろんのこと、糸蔵内部の作りや歌口の溝に至る細部まで、実に昔三線風に仕上げているのだが、ため息がでるほど美しい鳩胸の曲線と膨らみに、まるで機械で作ったのかと思うほどに正確な爪裏の形状、そしてやや昔風に線を描く鑿彫。
驚くのは、芯に小型ナイフを用いて入れたのであろう、昔三線風の凹凸は芯の四面全てに見られる。
天は優雅に広がるが、その厚みはやや薄めである。
野長一尺五寸七分の三線で、いったい元になった名器とはどのような三線であるか調べてみたが、正式な図面には当てはまらなかった。
その情報も気になるところであるが、材は八重山黒木が用いられており、棹の状態もよく、塗りは年数経過による打ち傷や使用感が見られるが、それを差し引いても、この三線が放つオーラが褪せることはないだろう。
亡き桃原氏のチャーギチーガに八分張りの本皮仕上がりとなっており、テーン..と広がる高音で透き通るような音色は、民謡でも古典音楽でも力強く発揮していただけるもの。

ここで所有者様の事を少しお話させてください。
所有者は中頭郡の出身で、父母と兄弟9名の一番末っ子。家庭の事情で貧しかったので、ご飯は近所の友達の家で食べることも多かった。小学校4年の時、親が県外へ出稼ぎのため別れた。空港で飛行機を見ながらおいおい泣いたという。親がその当時、親戚の人から慰めにと手渡されたのがこの三線だった。赴任した土地で休みの日には三線で心を諫めた。それから何十年と歳月が経ち、所有者が三線に興味を持ったことから、親から譲り受けた。
両親亡き後、一度も塗り替える事もなく現状維持し使い続けてきたが、今回、新しい事業を展開するための資金の一部になればと、兄弟で話し合いの末に、この三線を譲ることを決心なされた。

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胴巻屋

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