前持主さんによる三線の癖の影響

おはようございます。
沖縄は風が強くなっております。
皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

さて今回は、少し変わった話をしたいと思います。
物自体が人から受けた印象や癖というものは、実のところ引き継がれているのではないか、という内容です。
こんな不思議なことが3度ほどありました。
10年ほど前のある三線のお話しです。
小さな知念大工でしたが、なかなかの作りであり、音色共に良しということで、私どものほうで引き受けることになりました。
その知念大工を見たお客様が一目見て気に入り、引き取りたいと申し出ましたので、喜んでお渡ししたところ、この方は頑固一筋の民謡じょーぐーで、更には宮古民謡一点張の方でございました。
しかし、どういったことやら、この知念大工を手にしてからというもの、独学で古典音楽の安冨祖流を始めようとしているとの話を、奥様から電話で報告があった。
頑固な主人がこんなに趣味が変わって、古典を演奏しようとするなんて不思議だ。おたくが薦めたのか?と伝えてこられたので、いいえ私も安冨祖流は知らず、薦めてもいませんよ。と丁重にお答えしたのであります。
それからお客様はそのまま近所の安冨祖流の門をたたき、一から古典音楽をスタートさせていた。
私も不思議に思って、もしや三線がそうさせたのか?と勘を働かせてみて、前の持主様に電話を入れて、もしかして安冨祖流を勉強されていましたか?と尋ねてみたところ実に驚かれて、このような答えが返って来た。
「私がこの三線と出会ったのは、私からのワンオーナーではなく、2代目です。しかし、私の前に持っていた方、つまり譲っていただいた初めの持主は安冨祖流を勉強されている方で、名前までは言えないものの、詳しい人なら知っているだろう師範の方が長く愛用していたものを、私が無理を言って譲ってもらった物なのです。なぜ安冨祖の話をされたのか不思議に思います」とお話しされたので、事の経緯をお話しすると、深く納得されて、「2代とも安冨祖を演奏して来たからでしょうか。三線に想いはそのまま伝わり生きるのですね」とお話しされた。
誠に誠に不思議な話はまだまだあるので、後日、そんなお話しをしましょう。
ですからきっと、三線を手にして手がスムーズに動くようになった事や、より深く三線を理解し愛するようになったという経験のある方は、もしかすると、お持ちの感性を刺激する何かを、その三線が持っていたということがあるかもしれません。

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