珍器真壁三線'九角猿尾'のご紹介させていただきます。1990年3月前所有者の愛弦家嘉陽により買い求められる。嘉陽没後に一度他のコレクターに渡り演奏使用され今日に至る。この作品を生み出した作者は、猿尾先端に拘りを見せていた時期があり、牙や像牙を足すなどの他にも、九角に仕上げていたとされ、私もこれまでに二度、拝借したことがあるが、その時に見たものとほぼ同じ形状の造りをした真壁型である。顔立ちや、膨らみを意識した鳩胸、爪裏鑿取り、どこをとっても天才的な技術と造形美の感覚を秘めた作者だったのであろう。このような造りを生み出せる職人は後にも先にも出てこないと断言してしまいたい。塗直し再塗装済み。捻りなくコンディションはすこぶる良い。当時ものの県産チーガに両面本皮張りで張り直した。八分張りの柔らかく響く音色。強くもなく緩くもない。ちょうど良い強さで調整した。
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