玉城盛善作西平開鐘型委託

今から四〇年前、古典音楽師範の顔を持つ依頼主様が直接玉城盛善氏から購入した西平開鐘型。長い間弾かずに床の間に置いていたため、現状表皮が破れている。破れた皮の裏には直筆で玉城盛善の名前や製作年月日が記載されているため、剥がすのはもったい無いと、そのままの状態で保管されてきた。チーガ内部の構造にも特徴的な工夫がなされている。玉城盛善といえば西平をこよなく愛し、真壁といえば西平というほど得意としていた。昔、玉城が名器西平の所有者宅へお邪魔し、分度器や差金を用いて丁寧に図面を取ったというエピソードを、私は野原先生から直接伺ったことがある。そう。玉城は西平という名器に魅せられたその一人であり、昭和時代に初めて名器西平復刻を実現させた方でもある。さて、西平開鐘は実に特殊な三線だ。何と言っても父袋が他の真壁に比べて大きく、演奏面の感覚では直ぐに違いを知る者が多い。この絶妙な'癖'が妙に面白く楽しいものだ。チラ、野、大きな鳩胸、太めの芯、そのどの部分にも玉城の西平に対する熱い復刻の思いが込められている。それでいて洗礼されて、古風で、上品だから、今も彼の作品は愛され続けているのであろう。ヴァイオリン作家が毎年毎年名器パガニーニを復刻製作するように、玉城も一生涯、西平復刻に情熱を捧げた。

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胴巻屋

選りすぐりのヴィンテージ〜名作三線と、手作りの胴巻を扱っています。著書「古三線に魅せられて」

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