「がじゃんびら公園」は見晴らしが良く、那覇港を一望できるスポット。その公園の広間には、沖縄を題材にした美空ひばりの歌「花風の港」の歌碑が建っている。
花風とは明治38年ごろに創作された琉球舞踊の一つ。
その昔、遊郭の女性が想う男性を見送る際に、三重城に登って手拭を振り、出船に向かって別れの合図を送ったという物語は、
琉球古典音楽「花風節」として今も歌われ続けている。
当時、遊郭の女性(遊女のことを方言で「ジュリ」という)という身の故、愛する男性との別れ際にも、直接顔を合わせることは出来なかったと伝わる。
そのため、最後の別れを船から見える三重城から手巾を降ってさよならを告げたのだ。
花風
三重城にのぼて 手巾持上ゲレば 速船のならひや 一目ど見ゆる
(訳 三重城に登って 別れのハンカチを振っていたら、船足が速く一瞬しか見えない)
この歌を題材として猪俣公章が作詞したのが、「花風の港」である・
花風の港
赤い珊瑚の波散る島を なんであなたは 捨ててゆく 出船ほろほろ 花風の港
紅の手拭を 前歯で噛んで 忍びなくのも恋のため
二つの歌詞を比べるとわかるように、本歌「花風節」の物語の内容を猪俣流にまとめたものだと分かると思いますね。
そしてこの「がじゃんびら公園」の歌碑がなぜここに建っているかというのも、歌の世界を知ると意味深いものになります。
広場から海を見ると、なんと「三重城」が見えるのです。
現在でも船が行き来する様子と戦前の世界を重ねると、実にロマンティックな景色を想像できると思います。
また、歌碑の前に立つと自動的に美空ひばりの歌が流れるので、ひばりの歌を聴きながら三重城を望むのも大変気持ちの安らぐ楽しみの一つと言えましょう。
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