祝女と沖縄と岡本太郎

古琉球の世界では政治と宗教が密に関係していたことはご存知のこと

これは古代日本や中国 朝鮮等 周辺諸国を見ても同じことが言える

それらは紀元前から何千年もの間続き 神代時代 とも呼ばれ、沖縄は近年までそれが続いた

一度習慣となれば、時代の流れに反して守り通そうとする

それが 沖縄の根源なのだと 私たちは理解しなければならない


久高島は神の島 と言われ続ける

近年 イザイホーと呼ばれる祝女の儀式は止む終えず途絶えた

久高やその他沖縄地方の各地ではノロ(祝女)が祭司長の役割を果たしてきた

彼女たちは神器を用いて(勾玉など)霊界と俗界の間の媒介を努めて、日常の相談も受けてきた


祝女たちが活用する勾玉は、もともと南満洲や朝鮮などで、

「野獣の爪に霊力が宿る」と信じられていた呪い師たちの間で活用されていたものだった

勾玉は古代日本でも重要視された神器の一つである


琉球の古民家独特の構造は床を上げ、戸を開きっぱなしにする

これは台湾の地方の住居と非常によく似ていると研究されている

また朝鮮の女性が頭に荷物を乗せて運ぶスタイルは、昭和後期ごろまで沖縄の地方で見られた習慣である


古代日本 朝鮮 台湾(琉球・小琉球) 唐 そして琉球

それらに共通する 祝女 祭事 宗教 政治事

それに共通するものというのが 火 なのではないだろうか

古い時代 彼女たちにの重要な役割は 火を絶やさぬことであった

太古の時代 島から島へ火を移すことがどれだけ大変であったかは想像を絶するものだ

かつて各家庭の娘が火に絶えず燃料を補充して絶やさぬ役目を務めてきた

火は先祖代々受け継がれてきた存在だったからだ

その役目を任されていたが故に、火守りとしての重要な役割ができ、タブー制度を設けられ、

火を扱う女性の重要性が高まっていった

先祖の霊と密接な交流を持つものと考えられ、新しい家が建つと、火は本家から新屋に移された(仏壇の灰を移す作業に似ている)


沖縄では台所に「火神(ヒヌカン)」がある

やがて火の系図が血縁の系図を代表するようになった

火の権力は次第に勢力を増し、村内でも重要な権威が与えられるようになり、部落の根神に他ならなかった

火守役は各村内で選出され、選ばれた祝女の兄弟の女子がその聖職を継ぎ、地所が与えられるまでになった

彼女たちは火を守り、先祖崇拝の祭礼を司り 冠婚葬祭 農業 などに至るまでを占うまでに至ったのである


近年 岡本太郎の沖縄 という映画が公開された

岡本が起こした風葬写真のタブーを取り上げた内容であった

彼が風葬写真を週刊誌に売りつけた真意は不明のままであったが、

ただ私が思うに、彼は日本を愛した 力強い太古の文明を 神々を 縄文から続く太陽や火や自然を愛して止まなかった

そして 太古の文明を引き受け 守り続けようとする沖縄の姿を 岡本はそれを感じて愛していたのだと。

胴巻屋

選りすぐりのヴィンテージ〜名作三線と、手作りの胴巻を扱っています。著書「古三線に魅せられて」

0コメント

  • 1000 / 1000