島袋の大與那城八重山黒木 名器級

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「沖縄三線 昭和後期作 極上の一本 '島袋の大與那城' −八重山黒木ウジラミ− 両面本皮張胴 黒漆艶無し※一箇所のみ傷有」を出品させていただきました。是非最後までお目通し下さいませ。
~最ランクの八重山黒木大與那城が出来上がるまで~
所有者島袋お婆さんの祖父(大正生)が愛用していた大與那城型三線があった。祖父はその大與那城を、当時、隣町の首里鳥堀の国吉という友人が持っていた三線「冠鷲のように大きく力強い與那城グワァだ」と言って良く自慢していたが、しごく気に入ってしまい、交渉して譲ってもらった。昭和後期、祖父亡き後、三線好きであった兄弟が八重山の人から八重山黒木原木を譲ってもらったのを機に、それを三線に仕上げて親兄弟でそれぞれ分けようと話に決まった。型は祖父が愛用した大與那城から型取りして作ることに決まった。原木運びから一切を上の兄に任せた。しかし、原木の生木のため、乾燥から仕上げまで入れて少なくとも2年半はかかるだろう。と三線屋から返答があったと聞いて、長い歳月のような気がしてがっかりした。それから三線のことも忘れた約3年半後、兄から三線が四丁仕上がったと連絡を受け、実家に集まった親兄弟で完成を喜んだ。予想以上の仕上がりを見せた三線が、丁寧に、美しく、綺麗であったからだ。島袋さんは長い間それを床間に飾っていた。時々お盆と正月に親戚の者が、かぎやで風節、を演奏したりした。年月と共に表面の本皮が一度破れてしまっていたため、今年に入ってから、うるま市の三線屋に張り直しをお願いしたものが、現在のものである。裏面は昔のもので、楔打ち張りされた本皮だが、三線屋から「使われた皮が丈夫でまだまだ使えますよ」とお話しいただいたので、そのままである。当工房のほうでも確認しましたところ、まだまだ使用できるものであります。胴は昔チーガであり、中に'国吉'のシールが貼り付けられている。皮のダメージは両面とも問題ありません。当初塗りは黒塗りで真っ黒であったが、島袋さんの意向で新しく透明塗り仕上げで塗り直しを依頼されたことにより、数カ所にウジラミ模様が確認できる※画像参照。去年の暮れに、親戚の叔父が誤って湯飲み茶碗をあててしまい、一箇所だけ塗りがかけてしまった(画像3枚目。正面からみて左側乳袋に、約3mmの小さなかけ。軽い程度のもので、演奏などに問題も支障もない)。
~丁寧に作り込まれた與那城~
棹重量(カラクイなし)は五六九㌘としっかりと重みがある。棹に狂いや動きはなく正常である。驚くことに、左右のバランスや顔の表面と裏面を考慮された面出しは絶妙な仕上がり。太い三線は職人によりやや鈍い仕上がりとなる場合があるが、この與那城は立体的で、かつ膨らみと曲線の表現に富んでいる。無論、掲載した画像からもそれがお分かりいただけるものと思います。
通常の三線は野長一尺五寸八分に対し、この大與那城は野長をきっちり一尺六寸と6.6mmほど長くされている。また、野面のグリップは卵型。そして洗礼された爪と鳩胸。どこを取って見てもその見事な出来栄えに驚くばかりでございます。
興味深く思った我々は、他の三丁の三線は僅かにその作りに違いが出ているのかと思い、島袋さんに無理を言って見せてもらったのだが、集まった四丁はまったく瓜二つであり、この三線を手がけた職人さんの、どこまでも妥協を許さない姿勢を垣間見ることができ、我々はただただ驚くばかりでございました。
柔らかみのある温かい八分張りの音色を持つ魅力的な作品ですが、今ではご兄弟様も手が不自由となり、三線を弾く者も居なくなってしまったことから、一丁は他の方にお譲りしたいということで、この度この場でご紹介する事になりました。
またとないイチ押しの大與那城型三線。末永くご愛用いただける方にお譲りしたいと共々願っております。お取引の最後までどうぞ宜しくお願い申し上げます。

胴巻屋

選りすぐりのヴィンテージ〜名作三線と、手作りの胴巻を扱っています。著書「古三線に魅せられて」

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