斎場御嶽での怪奇

これは私の友人が25年ほど前に体験した話だ
友人仲間6名が集まり
車でみんなして斎場御嶽に向かった
当時は高校を卒業したばかりのバカ騒ぎである
ふざけが盛り上がって
通りに落ちている賽銭を拾う者
石ころを集めて袋に入れる者もいた
そして、サングーイにつくと
その大きな斜面にあるいつくもの窪みの穴を
何気なく手を入れて探った友人
するとある程度高さのある窪みから
石のような固いものを掴んだ
彼はそれを取り出し見てみると
七色の色をした勾玉が出てきた
それは綺麗な虹色ではなく
よどんだ色味であった
彼は驚いてそれを友人に投げた
キャッチした者は不気味がって
また別の人に回した
6人全員がそれを手にしたが
勾玉でもあり さすがに怖くなって
元あった場所に戻したのだ
悲劇はその後から始まった
一ヶ月後 サングーイから石を拾った友人は
突然の腹痛で倒れた
直ぐに緊急の手術が行われたのだが
お腹からゴルフボールほどの大きさの
胆石が取り出されたのだった
尿道からも胆石が出てくるなどとして
入院は長引くことになった
ようやく健康を取り戻した彼は
この病はもしかするとあの場所での悪ふざけでは
とやっと振り返るに至った
怖くなってあの時集まった友人らに電話を入れるが
誰ともつながらず 中には
'この番号は現在使われておりません'
とアナウンスする番号もあった
一体なんなんだと思いながらも月日は流れ
それから約一年後 大晦日であった
あの時連絡がつかなかった者から
やっと連絡があった
彼はそれまでの間に大変なことが起こったと話した
それであの時のみんなとまた集まって
大晦日に普天間宮神社に行くことになった
そこで知ったのは 
集まった全員に不幸があった事実だった
一人は経済破綻だったのだが
彼は賽銭を拾った者だった
一人は大きな交通事故で
実は彼はあの日拾った石ころを袋に入れて
車に置きっぱなしだったと言った
一人一人に大きな災いが重なる事態に
皆が 来年からは良い年になるように
との願いを込め 普天間宮の鳥居を潜ろうとすると
その側から白装を着た巫女さんが近寄ってきて
「ここはあなた方が来るところではない
鳥居をくぐってはいけない。
南部の神様がお怒りになっている
直ぐその足でその場所へ行き謝りに行きなさい」
と激しくお叱りを受けた
身が凍るとはこのようなことである
全員は直ぐに車に乗り 斎場御嶽へと向かった
駐車場に到着するなり 深夜の斎場御嶽へ入り
すいませんと何度も深く深く謝ったのだという
これは友人が話した実話である

近年では沖縄の砂や石の持ち出しが
固く禁じられるようになったが
まさに触らぬ神にたたりなし の話である



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