遊客が自分の友人数名を連れてきた時は、提灯を照て娼婦を呼んで宴遊する。
宴終われば、他家の娼婦は自分の客を引き連れて帰っていく。
酔客が娘の肩に寄りかかり、行く様は、すこぶる得意の様子である。
端道、中道の西側に豚小屋があって毎日50頭余りを屠殺している。
午前の5時ごろから始まって、7時には終わるが、大小の豚がまさに死のうとする時、その叫び声がひんひんぐうぐう、廓中に鳴り響いてくる。
遊客はその哀れな叫び声を聞いてすっかり冷めてしまうところは、全く殺風景な話である。
内地人が初めて妾家に遊びに行くには沖縄語をよく知った人に案内してもらわなければならない。妾家の方ではその初客の挙動を熟察して初めて宴遊を許すのである。
しかし、その程度の紹介で交わる妾はまま梅毒伝染の恐れがあるので、そういう心配をなくするためには、他の客を取らない妾を置くことである。
これを置こうとすれば、まず老妾あるいは友人の妾などを持って、アンマーに相談して頼む。
アンマーの方では、その客の職業人物年齢、それから酒癖が悪くないかなどを十分に調査してから、その客の所望している娘をチミジュリとすることを許すのである。
いよいよ話がまとまり、吉日を選んで、アンマー、それから仮の姉妹(同居の妾たち)二、三人が集まってから酒宴に移るが、すこぶるいんぎんをきわめ、あたかも婚礼のようである。
それからあとは、大っぴらにその妾の許に通うことができる。
妾は決して士族の妻となることはできない。鹿児島商人も自分の商売の手助けをさせているに過ぎない。
中には、馴染んで鹿児島へ引き上げる時に、娼婦を連れていこうとするものもいるが、女子を島外に出すことは禁制なのでできない。
また、士族kの妻女は紡績で家事を助けているが、娼婦たちはそういう素養がない。
続く
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