決して表に出なかった三線工たち

優れた技術を持っていれば
職人として実力を付け
あるものは店を出したり 
その技術者の名前が広まるものである
しかし決して表に出ず 
ひっそりと活動するものがいた
彼の多くは短い活動期間のみで
その後は目立った行動も情報もなく
いつしか人々の記憶から無くなってしまうのだ
ではなぜ表に出ないのか?
表に名を出すことを毛嫌いするものもいたが
それとは真反対に
人気店の職人からお墨付きをもらって
その職人の作として世に流通されていた者も
そのために名を出して活動することを
禁じられていたのであった
彼らは三線以外でもなんでも作った
仏壇 家具 木船 家 琴 仏像 漆器
あらゆるものを作ってしまうのだから
その器用さを買われ 店の専属の職人として
契約を求められることもあった
しかし店のものとうまが合わずに
わずか数年で離れてしまうのだ
またそれとは別に
どこからか材を入手して
前代未聞の名器級三線を作ってしまうものもいた
彼らはひっそりと演奏家などに売るのだが
演奏家がその詳細を尋ねても
誰が作ったものかは知らない 
とだけ言うのであった
なぜなら自分で作ったのだと言うと
買ってはくれないのではと不安があったからだ
誠に誠に天才たちは自尊心が少ないのであった
そんな取り上げられることのなかった
珍しい三線工を紹介させていただこう

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